健康寿命の壁

2021年の日本人の平均寿命は、男性81.47歳、女性87.57歳で(2022年7月29日厚生労働省発表)、同年世界ランキングでは男性はスイス、ノルウェーについで3位、女性は第1位だそうだ。
介護を受けたり寝たきりでなく日常生活を送れる期間を示す「健康寿命」を見ると、最新の2019年の比較では男性72.68歳、女性75.38歳。平均寿命との差を比べると、男性8.73歳、女性12.07歳と、大きな差がある。
シニアの健康というと「もの忘れやボケ」の話題が多いが、これらは健康に含まれるのだろうか?
よく例に出されるように、「加齢に伴う物忘れ」と「認知症」は違うもので、朝食を食べたことは覚えていても、何を食べたか覚えていないとか、有名人の名前がスンナリ出てこないが何かのきっかけで出てくるような場合は単なる「物忘れ」らしい。

一方、朝食を食べたこと自体、自分の体験そのものを覚えていない、身近な人の名前を思い出せないような場合は、「認知症」による物忘れのようだ。認知症か物忘れかを見分けが難しい時は、専門医相談にゆだねるのがベストかも。
専門医による診断では、問診(「今日は何月何日ですか?」と尋ねたり、簡単な計算問題をする、いつ頃からどのような行動に違和感を覚えたのか…)、これまでの病歴や現在の健康状態、神経心理学検査、MRIやCTなどの脳画像検査などがあるようだ。
寿命を決める要因は、環境因子が75%、遺伝子が25%らしい。食生活・喫煙・運動・医療などの生活環境は、環境因子だろうから、かしこく実践したいものだ。

高齢者には、単身世帯も多く、外食・テイクアウト・コンビニ依存などの例も多いが(若者もだが)、その場合、問題点の一つは塩分の過剰摂取!
今、健康に望ましい一日の塩分摂取目標は、男性7.5g、女性6.5g未満とされ、高血圧の人は6g未満(日本高血圧学会)、WHO世界保健機関の減塩目標に至っては5g未満。

減塩計量に役立つミニスプーン1mL(写真下。女子栄養大学創設の香川綾先生考案)

外食が多い人で、栄養バランスを保ちながらこの目標値を守れている人は、本当にいるのだろうか?
ラーメンに至っては、塩分6g前後のものが多く、目標値には収まらない。
お店でも、減塩すればまずくなってお客が減ると思っているのかもしれない。「薄味に」といって注文しても、味はほとんど変わらない。「スープを残すとよい」と言われるが、半分残してもまだまだだ。

やはり、お店のメニューには、主菜・副菜のおいしい減塩メニューを常備してほしい。「本日の減塩メニュー」として日替わりメニューがあれば、知られるにつれ人気になると思うが。
「スマートミール」の外食・中食を選ぶ新基準の運動も行われてはいるが、塩分とりすぎになる外食メニュー改善はなかなか進まない。減塩目標が泣いている。

©GUN-YOSHA 2022(文責M)