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食育教材レポート・3(米国) 加納壱子 ジャーナリスト

農業を学ぶグッドチャンス――11月のサンクスギビングデイ(感謝祭)と絵本

11月の第4木曜日は「サンクスギビングデイ(感謝祭)(★a)」。アメリカでは、当日の木曜日から週末の日曜日までの4日間が、通常休日となります。17世紀前半、ヨーロッパから北米大陸に移住した人々が、ネイティブアメリカンに助けられながら、苦労して新しい地で農業を営み、神の恵みと秋の収穫を感謝したのが始まり。一年でもっとも農業に関わりのある祝日といってよいでしょう。現在は、家族がそれぞれの実家などに集まり、ターキーとパンプキンパイのごちそうを囲むというのが、オーソドックスなすごし方のようです。
 今回ご紹介するのは、感謝祭をテーマにした幼児向けの絵本です。10月末のハロウィンが過ぎると、書店の児童書コーナーにずらりと並ぶのがこの絵本。もっとも目立つのは、人気のテレビアニメキャラクターが主人公のもので、何種類も出ています。このほか、シール付、マグネット付で、畑の作物やテーブルに並べる料理を自分で絵本のページに加えるものなど、趣向が凝らしてあるものも多くあります。
 シンプルな物語で「食べ物や人への感謝の大切さ」を訴えるのが、男の子ビルが主人公の「感謝でいっぱいの感謝祭」(写真1)。始まりは、おいしい食べ物のほかにも、感謝することをみつけてごらん、という父親の言葉。ともに遊ぶ友人、洋服やおもちゃ、家族などへと思いをはせながら、貧しい家庭の友人に、食べ物がメーンのプレゼントかごを作って送り、最後に家族みんなで食卓のごちそうに感謝するというストーリー。絵は未完成のまま売られており、食べ物や友人と遊ぶシーンを、付属しているシールを貼りながら埋めていく仕組みです。
 「納屋の中の感謝祭」(写真2)は、ひつじ、豚、牛、最後にターキーが、それぞれご馳走を持ってきて「人間に食べられなかったことに感謝しながら」皆でパーティーをする話。全ページ、ポップアップ式。最後のページの食卓シーンは料理と動物が勢ぞろい。これも話は単純ですが、各ページに農場風景が広がり、ポップアップ部分は裏にも絵がついていて、凝ったつくりです。
 一部の書店では、このほか農業についての関連書籍を置いています。「オールドファッション・ファームライフ」というぬり絵ブック(写真3)は、19世紀半ばのミシガン州の農家の姿を、40枚を越える細やかなぬり絵で表現。秋の収穫期にカボチャを手で集めたり、ジャガイモの芽をむいたり、麦を刈り取る姿が紹介されています。

 ご存知のように現代のアメリカの農業は大型機械による大規模生産がメーンです。アメリカの大人たちは、1年に1度の感謝祭に、18〜19世紀のアメリカの農業の姿を、子どもたちに教える機会を得ているといえるでしょう。

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★a)サンクスギビングデイ(感謝祭)…イギリス人を中心とするキリスト教の清教徒が北米・マサチューセッツに移住した1620年秋、村を作り農業を始めたが1年目はうまくいかず、多くの餓死者が出た。翌春、ネイティブアメリカンが現地での農業・漁業のノウハウを教え、2年目の秋は多くの収穫を得た。神の恵みとネイティブアメリカンの助けに感謝するため、清教徒が設けた祝いの席が、感謝祭の始まりとなった。ネイティブアメリカンも鹿肉の料理を送って招待に応じ、友好を深めたといわれる。当時の食卓は、狩りで捕まえたターキーに、収穫物でつくったパンプキンパイやトウモロコシ、クランベリーパイだったと伝えられ、現在までかたちを変えつつもその料理が受け継がれている。

[参考文献] ダグジョーンズ:第7章 感謝祭,ニューヨーク野菜配達物語(My Brother’s Farm),(2003) 家の光協会
[参考Webサイト] 暦の旅;サンクスギビング・デー
 http://www.colonglobal.com/colony/holiday/tanksgivindday.html (※本来のつづりはthanks giving day)
絵本「感謝でいっぱいの感謝祭」
写真1
絵本:ビル・コスビー著「感謝でいっぱいの感謝祭(The Extra Thankful Thanksgiving)」(3歳児以上向け)
3ドル99セント(約420円)、シール56枚付
写真2
絵本:ナディーン・ウエストコット著「納屋の中の感謝祭(Thanksgiving in the Barn)」(年齢指定なし)
6ウ99イ(約730)、絵が飛び出るポップアップ式
ぬり絵ブック「オールド・ファームライフ」
写真3
ぬり絵ブック:「オールドファッション・ファームライフ」3ドル95セント(約420円)
  絵本で遊ぶアメリカの子ども
写真4
絵本で遊ぶアメリカの子ども。就学前の幼児が、はじめて農業や食べ物への感謝を学ぶ貴重な機会となっている
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