ところが(!)、出発が目前に迫ったある日のこと。あの「ムンクの“叫び”」が美術館から盗難されるという事件が…!!その翌々日には近隣国ロシアでテロにより飛行機2機が墜落するという事件が起きた。怒りや哀しみで何となくすっきりしない気持ちで迎えた当日は、なんと、台風の暴風雨のなかの出発だった。
「この度重なるいや〜な出来事は、まさか旅先での不幸を暗示しているのでは…?」
出発前夜まで〆切の仕事に追われ、過労と睡眠不足で最高に疲れて果てていた私。
「過労のあまりエコノミー症候群で死ぬかも!」と冗談半分で捨てゼリフを残してきたが、本当にこの機内食が私の最後の晩餐になってしまうのではないか(しかもエコノミー席用の食事!?)と不安におびえていた。
しかし、何事もなく、無事、北欧の地に降り立った。その瞬間、不安や疲労は一気にどこかへ吹き飛んでしまった。「喜」「楽」という感情は、ドリンク剤をはるかに超えるパワーを与えてくれるものだ。
嬉しさのあまり頬の筋肉がゆるみっぱなしであると同時に、食欲もとどまるところをしらない。朝も、昼も、夜も、ひたすら食べ続け、おなかまわりはみるみるうちにふくらんでいき、ぴったりサイズのスカートが途中からはけなくなってしまった。
私たちが通常「バイキング」と呼ぶ、一定料金で好きなものを好きなだけ食べられる食事スタイルは、じつは北欧が元祖。スウェーデン語では「スモーガスボード」と呼ばれる。この食事スタイルが続くものだから、あれもこれもとついつい食べ過ぎてしまうわけ。北欧は魚介やフルーツが充実していて、しかも新鮮でおいしいものだから、どんなに苦しくても食べずにはいられない。フランス旅行のときのように、脂肪のとり過ぎでおなかがもたれて絶食…という事態に陥ることもなかったから、日々太り続ける。
大好物の「スモークサーモン」は食べ放題。意外に気に入ったのは「ニシンの酢漬け」。日本の梅干しのように日常的なものらしく、マスタード味、トマト味、ベリー味などさまざまな種類がある。そして、甲殻類アレルギー体質ながらも「せっかくだから…」と思い、名物「ザリガニ」にも初チャレンジ!(なんとか大丈夫でした。ほっ)
ベリー類はとにかく豊富で、旬のブルーベリーやラズベリー、グロゼイユ、名前のわからない色も形も大きさもさまざまな種類をみかけた。これらで作られたジャムは、ヨーグルトだけでなく、肉料理にも添えられる。毎日こんなにおいしいベリーを食べて暮らしている人たちは、本当に幸せ者だ。
今回の旅において、意外な感動をおぼえた観光スポットといえば、ノルウェーの首都オスロの郊外にある「フログネル公園」。ここは、群羊社流に俗っぽく言わせてもらうなら「喜怒哀楽どんぶり公園」。人の一生というダイナミックな生きざまが「喜」「怒」「哀」「楽」のあらゆる感情でもって、212もの彫刻に見事に表現されている。彫刻家グスタフ・ヴィーゲラン(1869〜1943)が晩年を捧げてつくりあげたこの広大な野外美術館に佇んでいると、ちっぽけな存在の人間が、北欧の壮大な大自然より大きく見えてくるような…不思議な気持ちにさせられた。
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| 豪華客船でのスモーガスボードの例。これは冷菜メニュー。この後、温菜メニュー、デザートメニューと3つのお皿を楽しむ。この日はワインが飲み放題! |
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| ヘルシンキのマーケット広場にて。旬のグリンピースは生のまま食べる。とうもろこしのように甘くておいしい。 |
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| サーモン、ニシン、サバ、タラが主流。海の幸に恵まれ、その充実さは日本並み。燻製などの加工品も多い。 |
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| スモークサーモンやボイルえびなどを贅沢にのせたさまざまなオープンサンドイッチ。あれもこれも食べてみたいものばかり。 |
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