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「昭和30年代を模した風路地裏飲食店街」に行列ができるのは、
なんでだろー?
カネクのブース
長い行列が絶えることのなかった、FOODEX 2003のカネク(株)のブース。
台場1丁目商店街
お台場にある人気のテーマ館の1つ、台場1丁目商店街。チラシに「路地裏に夢と活気があった時代。」とある。
ラーメン博物館(横浜)
行列また行列の人気!ラーメン博物館(横浜)。昭和30年代の下町を再現。
 世界78の国・地域から約2500社が出展して、アジア最大の国際食品・飲料展(FOODEX、フーデックス)が3月11日から千葉県・幕張メッセで開かれました。28回目を迎えた今年のテーマは「世界を結ぶ食文化─“食”の楽しさ新発見」で、4日間、約10万人の入場者でにぎわいました。
私たち編集者にとっても加工食品のトレンドや消費動向の一端がのぞけ、少なからず企画の参考になるので、毎年欠かさずに見て回るようにしています。人が集まるブース・集まらないブースを観察しているだけでも、人の心をつかむ企画とはなにか?のヒントになります。実用書の企画や構成案では、読者になりきって課題を見つける努力を怠ったり、自分の生活や考えだけに立脚したものは多くの場合つまらなくて売れません。頭だけで作った企画は実体把握に欠け血が通ったぬくもりがないからです。逆に、足だけでまとめた企画は重要な本質を見逃しがちです。両方の融合こそが大事です。また、企画を司る脳細胞には絶えず刺激を与えておかないとぼけてしまいます。この点、人の集まる生でフレッシュなイベントは企画悩にとって大変いい刺激となります。

 FOODEXはPRや商談が第1の目的で、販売促進のために試食や試供品プレゼントをしているブースもたくさんあり、人気のブースには行列ができます。
 今年最も長く行列が続いたのはカネク(株)という小さな食品メーカーのブースでした。お弁当や食堂メニューなどについているミニサイズの生わさびや柚子わさびなどの薬味や調味料などを作っているメーカーです。

 このブースは今はやりの昭和30年代の雰囲気で、ガード下の路地裏飲食店街を模したものでした。行列の末尾に並ぶこと20分。路地に入ると1軒目ではパスタ、2軒目ではにぎり寿司、3軒目では焼きぎょうざの、いずれも目の前で作りたての試食ができました。もちろん試食ですから、パスタは直径7〜8cmほどの紙皿に一口分、にぎり寿司やぎょうざは各1個です。それぞれのカネク製の柚子風味のドレッシングや、しょうゆ、わさびなどが使われており、食後にはアンケートに協力するという趣向です。サンプルは20数種持ち帰り自由。若いお嬢さんから元お嬢さん、中高年の業者マンまで圧倒的人気でした。

なぜ、このブースに行列が続いたのか、私はこう考えました。
1 業務用の最新調理器具が見えない、手作り感
2 日本人の大好きな寿司、ぎょうざ、パスタが試食できる
3 夢と活気があった時代、昭和30年代へのノスタルジア、おしゃれ感


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については、寿司ロボットの握るすしや、オートメ器械で出来上がったうどんなどは、五感で味わうおいしさという点では幻滅です。安いのが一番という価格意識には飽きてきて、少し高くても安全でおいしくて栄養価のある食べ物を求める価値意識がふくらみつつあるのではないでしょうか。マクドナルドの低価格路線の挫折も、そんなことが背景にあるような気がします。
2については、やっぱり日本人は、ラーメン、ぎょうざ、すし、焼き肉、おでんといった、目の前ででき上がった料理を食べる「屋台」感覚が好きなんです。
3については、極貧も戦争も地獄も体験してきて、今は年金で悠々自適の80歳のおばあちゃんをして「今は私の一生で最悪の時代」といわしめるほど人心がすさんでしまった今の情況に対し、昭和30年代の風景には、貧しいながらも活気や希望が写っているのかもしれません。経済成長、反安保、東京オリンピック、裕次郎、ひばり、小百合…この時代に一生懸命生きた、青春した人々が後悔やノスタルジアで振り返るのは当然として、見もしなかった若者世代までが共感するのはいったい何でしょう。ナンジャタウン(池袋)、ラーメン博物館(横浜)、台場1丁目商店街(お台場海浜公園)なども同じコンセプトのテーマ館で、いつも行列です。渋谷あたりでは30年代のブリキ製の玩具やキャラクターグッズ、アクセサリー専門店が女子高生でにぎわっているそうです。ある町のある商店街では活性化のために、不透明感の未来を志向するより、最も活気があった昭和30年代に戻ってみようと企画を練り直し、1店舗当たり200万円くらい出し合って店舗デザインから看板、ネオン、包装紙、商品陳列までことごとく30年代に戻したところ、ワンサカ客が集まって10倍の売上になったと、テレビのニュースでやっていました。お見事でした!
昭和30年代を模した路地裏飲食店街になぜ長い行列が続くのか、考えてみるのも楽しいですよ。
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