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食の仕事人 100番勝負 vol.6

摂食・排泄総合情報誌「タベダス」編集長 山崎幸江さん
〜炊飯器で介護食「パッククッキング」
「食べる」「出す」をもじったユニークな誌名、「タベダス」という雑誌が注目されています。摂食・排泄総合情報誌で、編集長は山崎幸江さん。痴呆の父親の介護を6年間も続けた経験があります。発行人は夫でもある松井省吾さん。「咀しゃく」とは、学会事務局長やその普及活動を通して長い間向き合ってきました。父親の介護に週末片道4時間かけて通い続けた経験もあり、この二人二色の介護体験は「夫と妻の別居介護」「痴呆の老親を介護する26のヒント」という本まとめられています。

 「高齢者が尊厳を持って最後まで人間らしく生きるためには、口からおいしく食べて、自分の力で排泄することが何より大事」という強い思いが、介護者、高齢者の摂食・排泄ケアを目指す「タベダス」の創刊の後押しをしました。
山崎さん夫婦で3人の老親を介護した奮闘記
 人間が健康に生きていくためには、食べなければなりません。食べたものの総決算が排泄です。その機能がうまく働かないと、食べられない・出せないわけですから、野生生物なら死に直結します。そこは人類。トレーニングで機能低下を防いだり、キザミ食やミキサー食・チューブ食などを考えたり、チューブや胃ろう(食事をとるためにおなかに開けた穴)によって人工的に栄養分を流し込んだり、さまざまな介護の手法で生きる道を探ってきました。
 高齢社会が進むにつれ、このような摂食障害者が増え、不自然な介護食も「普通の食事が食べられないから仕方がない」が当たり前でした。ところがここ数年、人間の食として本当にふさわしいだろうかといった疑問が出されはじめたのです。鳥のエサのようで、元の食材がなんだかわからないキザミ食、ミキサー食、ペースト食などへの見直しの機運が一気に盛り上がってきました。
 
 「タベダス」が創刊して半年ほどたったころ、山崎さんにとって大きな出会いがありました。家庭版真空調理法との出会いでした。
 介護する人もされる人も毎日が戦いの連続です。こんな苦労を自ら体験した山崎さんにとっては、目からウロコの画期的な調理法でした。なんと火を使わずに、炊飯器でご飯とともにおかずが手軽に、しかもおいしくできる夢のような調理法でした。ベースは、東京都文京区にあるフランス料理店のシェフ川平秀一さんが考案した家庭版真空調理でした。
 介護の必要な高齢者はもとより、元気な高齢者、単身赴任や子育て中の人などにも役立つと確信した山崎さんは、家庭版真空調理をベースに主婦の観点から再構築し、「パッククッキング」と命名、普及に乗り出しました。

 真空調理法はもともとヨーロッパで普及したもので、下処理した食材と調味料をまとめて真空パックし、比較的低温で長時間加熱して、冷却・保存するものです。栄養成分、うま味、風味などの調理損失が少なく、真空状態にすることで、熱が伝わりやすくなり、加熱ムラも出ません。パッククッキングはこの真空調理法の応用です。
 野菜は90℃以上で加熱しないと軟らかくならないので、炊飯開始時から入れておきます。魚、肉などの動物性たんぱく質は70℃を超えるとパサパサになるので、保温モードになったとき炊飯器に入れるだけで軟らかく出来上がります。

 【お】おいしい  うま味を閉じこめる
 「真空パックはポリ袋やストローを用いて行います。炊飯器や湯沸かしポットなどを活用することで、安全です。ご飯とおかずを同時に調理できたり、少人数分が調理できるのも大きなメリットで、一人暮らし、二人暮らしにとっては大変便利です」と山崎さん。パッククッキングの利点として「おかあさん、やすめ」をキャッチフレーズにして普及に務めています。
 【か】簡単    温度と時間をセットしてスイッチをいれるだけ。
 【あ】安全    火を使わない
 【さん】酸化防止 食材の酸化を防止
 【や】安い    少ない調味料と光熱費
 【す】健やか   脂肪が少なくて肥満予防
 【め】面倒ナシ  鍋を使わず後片づけ簡単
摂食・排泄総合情報誌
「タベダス」
「自分自身、親の介護でクタクタになり、介護に追われていると食事の準備もままならず、介護に気を取られ鍋を焦がした経験も何度かあります。突発的な事故も起こりやすく、安全は大きなテーマです。この調理法なら安全ですし、介護にぴったりだと思います」と“べたぼれ”。
 全国各地から講演会の依頼が殺到する山崎さん。「介護に追われる人をバックアップするためにも、もっともっと普及しますよ」と「タベダス」をかつぎながら飛び回っている今日この頃です。                     (ふ)
 
※味見ができないので調味を正確にはかることや、衛生面での注意事項もあるので、「パッククッキング」を始める場合は、講習会や専門書などできちんと理解してからスタートする必要があります。
※「パッククッキング」がのっている本
●摂食・排泄総合情報誌「タベダス」隔月刊 定価620円
●タベダス増刊号「パッククッキング」1000円 
以上、風人社 電話03-5800-5949
●「長続きする介護食(仮題)」(介護食の基礎知識とレシピ約200種を紹介した実用書。2005年10月発行予定、予価1300円) 成美堂出版 
山崎幸江さん
 
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