| Topics < バックナンバー1 | ||||||||||
|
||||||||||
食の仕事人 100番勝負 vol.1 |
||||||||||
「フードビジネス・コーディネーター77人 食の仕事の現場」を出版した編集者、藤本敏雄さん
|
||||||||||
| 藤本敏雄さん(48)はこの本の出版元である万来舎の編集長で、社長でもある。藤本さんと群羊社の関わりは、16年前の1987年6月ごろに溯る。当時、藤本さんは、書店にいっさい頼らずに、職域や町内会で実物見本やPRチラシを撒きながらセールスを行う直販方式の出版社の編集長であった。大きな活字の国語辞典や健康をテーマにした料理本、家庭医学書など、ミリオンセラーの本を続々誕生させていた。 藤本さんは、料理書を企画し、書店で実用書を見ながら編集外注先を探していたが、「あったかみのある編集」という理由で、群羊社に白羽の矢を立ててくれた。こんな縁で生まれた「味つけ百科」は1988年に発行され実売70万部を売るヒットとなった。 一世を風靡した出版社ではあったが、数年前にあえなく倒産。不渡りを出してから3ヶ月ものあいだ、藤本さんは役員でもないのに出勤し続けた。怒鳴り込んでくる債権者に頭を下げるために。それでも最初のうちは数人で対応していたのでまだよかったのだが、その内だれも出てこなくなり、最後はたった一人で事実上存在しない会社に出勤し続けたという。私もこの10年間に、取引先であった生協ルートへのベンダー(売り手)が驚くなかれ10社も倒産し、中には2000万円近い被害にあったが、いずれの場合にも責任者はみな夜逃げ同然に身を隠し、直接謝ってもらったことなど一度もないことを考えると、すごいことである。 失業中の藤本さんに、新規出版事業の立ち上げ話が舞い込んできた。出版社の倒産から誕生という、天から地、いやいや地から天へのジェットコースターのような、信じられない話が持ち上がる。そして何とかこの事業を立ち上げた後、紆余曲折を経て今度は何と仲間とともに自分たちで会社をつくってしまったのである。それが万来舎。藤本さんは自戒を込めて言う。「とにかく頑張るだけですが、会社の倒産がなければ今こうして出版社の社長には絶対になっていない。ピンチとチャンスはウラとオモテの関係。どんな状況であろうともそれをきちんと受け止め、そこで自分は何ができるかを一生懸命考えることが大切」だと。 フードビジネス・コーディネーターとは、売れる商品、はやる店を提案し、それを具体化する発想力、技術力、コミュニケーション能力をもったプロだという。 「この本は、このプロの道を歩み始めた77人のフードビジネス・コーディネーターのサクセスストーリーといえるでしょう。ビッグチャンスに立ち向かった77人のロマンと、クリエイティブな生き方がまばゆいほどで、業界人でなくても読むだけで面白い本です」と藤本さん。 「アイデアと技術でチャンスをつかめ」と、PRチラシの最上段で刺激的なコピーが踊っていた。 (文・藤原眞昭) |